KAILで培ったネットワークが強みとなり、会社経営にも生きている 鮎川典明
鮎川典明(あゆかわ・のりあき)
北九州エアターミナル 社長
第3期生
『仕事』について
- 印象に残っている仕事もしくは出来事は何か?
- かつて北九州市産業経済局長のポストに就いていた時に取り組んだコロナ経済対策は、印象に残った仕事の一つです。
コロナ経済対策としては、コロナ禍でダメージを受けたホテルに対する支援キャンペーンを実施しました。需要が急に消失したホテルの部屋代を市が2カ月分、先払いで買い取って、ホテル側に格安で部屋を提供してもらうという試みでした。『宿泊モニターキャンペーン』と称し、高級ホテルでも3000円で宿泊できるようにしました。
いろいろな困難を乗り越えてキャンペーンの実施にこぎつけると、多くの宿泊需要を創出することができました。そして、ホテル関係者からは、「資金繰りが本当に助かった」という感謝の言葉もいただきました。
一方、マスコミからも「市内で需要を生み出し、ホテルを救った妙案」として取り上げられ、大いに評価されました。このアイデアは、のちにクラウドファンディングによる飲食業支援策にも生かされています。
北九州市役所を退職するまでの1年間は毎日・24時間、コロナ経済対策を考えているという状況でした。必死でやっていたせいか、不況になると厳しくなる市議会からの苦情が、想定より少なかったことも印象的でした。
- 仕事上での強みや差別化は何か?
- 組織のトップは、常に決断を迫られます。だからこそ、自分の基軸、つまり判断基準をしっかり持つことが大事だと思います。基準があると、迷わずに決断をすることができ、仮に失敗しても諦めもつきます。また、ブレない基軸を持っていると、多少の苦労も我慢できます。
私の場合、「地域や組織にとって、何が重要なのか」「そのために我々はどうあるべきか」を基軸に据えています。
「地域のため」と思えば、難しい場面でも率先して行動するように心掛けてきました。「地域のため」については、2007年まで北九州市長を務められた末吉興一氏の影響が大きかったと思います。末吉氏のかばん持ちをしていた時、北九州空港や北九州学術研究都市、響灘大水深港湾の整備などに奔走する末吉氏の姿を目の当たりにしていました。
就寝時以外は、ほぼ仕事だった末吉氏は、「戦中・戦後を生き抜き、自分が今こうして存在するのは、公に貢献するためだ」とする滅私奉公な姿勢には、深い感銘を受けました。そして、私自身も末吉氏に倣って、滅私奉公に努めてきたつもりです。
- 今後に向けた抱負や思い、夢は何か?
- 北九州空港は3年後の滑走路3000メートル化に向けて昨年12月、延長工事に着工しました。今後、欧米からの旅客機や貨物機がたくさん来て市民が喜ぶ姿を夢見ながら、日々の路線誘致活動に頑張っていきたいと思います。
『 KAIL 』について
- KAILでは、どんな学びを得たのか?
※印象に残ったセッション、講師や同期生の言葉、出来事・エピソードetc - KAILでは多くのことを学びました。KAILでの学びを通じ、自分自身でセルフコンサルティングをできるようになったと感じています。何事に対しても自信が持てるようになったとまではいかなくても、取り敢えず「なんとかなる」と思えるようにはなっています。
その際に頼りになるのは、同期生とのネットワークや当時のプログラムディレクターの存在であり、いろいろな相談に乗ってもらいました。その結果、東日本大震災で発生したがれき処理を北九州市で引き受けた際、放射能汚染に関する風評被害対策もしっかりできました。また、コロナ経済対策においても宿泊モニターキャンペーンをはじめとする思い切った策を実施できたと思います。
現在、社長を務める北九州エアターミナルにおける投資コストの削減においてもKAIL同期生との交流が大いに役に立っています。
KAILで培ったネットワークには、独自の強みがあり、そして企業や団体のトップに立つ仲間も増えました。彼らとの交流や会話を通じて、私自身の経営感覚も磨かれているように思います。
『 プライベート 』について
- あなたにとって大切なものやことは何か?
- 合気道の仲間は、私にとって大切な存在です。週に1~2回、年齢や性別に関係なく、さまざまな方々と稽古をできることは、楽しみの一つです。
最近、71歳や76歳の方が、道場に入ってこられました。このような歳になっても新しいことに取り組まれる姿には、感服しています。
- 座右の銘や好きな言葉、愛読書は何か?
- 「自他共楽」。自分だけでなく、他者も共に楽になれるようにしていきたいと思っています。
DATA
- 名称
- 北九州エアターミナル株式会社
- 住所
- (本社)北九州市小倉南区空港北町6番
- 事業
- 北九州空港の運営
- 会社URL
- https://www.kitakyu-air.jp/
2024年3月時点