「愛がすべて」である KAILの学びは新規事業の創出に生き、地方創生にも寄与する 稲葉太郎

稲葉太郎(いなば・たろう)
九州電力株式会社 テクニカルソリューション統括本部 DX推進本部 イノベーショングループ長
第16期生

『仕事』について

印象に残っている仕事もしくは出来事は何か?
 2021年7月から2年間、株式会社QTnetに出向して、新規事業を担当したことが、私にとっては印象に残る仕事であり、出来事です。
 QTnetでは社長直属下、経営戦略本部でYOKAプロ部長として、新規事業の立ち上げを担当しました。新規事業ではあらゆることに前向きに挑戦していくという発想で、部署に『〝YOKA〟』という名称を付けていました。いろいろとチャレンジしてみた結果、「失敗してもよか」という意味合いの〝よか〟でもあります。
 具体的な新規事業の創出に向けて、東京や海外のスタートアップ企業の人たちと一緒に仕事をしてみると、互いの企業文化の違いを実感しました。
 われわれのような電力会社や通信会社では、エネルギーインフラや通信インフラを担っているため、安定供給を第一に考えます。一方、スタートアップ企業の場合、なるべく早く失敗して、いち早く修正・改善していくことで競争優位性に立ちます。つまり、いかに数多くのトライ&エラーを生み出していくかが大事なのです。そして、スタートアップ企業の最優先事項は、「とにかく速くやる」という〝スピード価値〟でした。
 ある意味で真逆な企業文化を持つ会社同士による共同で〝化学反応〟が起き、共創していくことで文字通り、〝オープンイノベーション〟が可能になります。私たちの場合、プロeスポーツチーム『SengokuGaming』を運営する株式会社戦国のM&Aによる子会社化が、新たな事業領域構築における成功事例の一つです。そして、福岡市の渡辺通りに面した『Luz福岡天神』(旧天神ロフトビル)8階に西日本最大級のeスポーツ総合施設『esportsChallenger'sPark』を開設しました。開設に向けて、オンラインで簡単につながる今日、あえてリアルに集う場を設けることの意義や意味をYOKAプロと戦国のメンバーで一緒に考えて実現しました。
 私自身の見解として、スタートアップ企業への出資においては、3つのリターンがあります。一つ目は投資・回収による『財務的なリターン』であり、二つ目は新規事業の構築に向けた『戦略リターン』です。そして、三つ目は『カルチャーリターン』、つまり企業文化を変革させていく可能性を秘めている点です。これが大きい。
 スタートアップ企業への投資および共創においては、異なる企業文化の交流で〝変える〟ところと〝守る〟ところのメリハリを意識するようになりました。QTnetは『九州で一番ワクワクする会社』を打ち出しており、その延長線上にあったのがスタートアップ企業との新規事業創出です。QTnetへの出向は2年間だったものの、いま振り返っても〝濃い日々〟でした。
今後に向けた抱負や思い、夢は何か?
 最近、〝型にはまらない人間〟を目指すべきではないかと考えるようになりました。当然、型を知らないと、型を破ることはできません。それだけに「私が目指すリーダー像とは「変化を起こし続ける」人物です。次代のリーダーは変化を通じて、自分自身を日々アップデートさせていくことが必要ではないでしょうか?5年、10年という長期間を要し、真似のできない難しさがあるのが、企業文化の変革と醸成です。時代の変化にあわせて多様性を活かし、ひとり一人の「思い」を「個人」や「組織」の成長につなげていくこと。そのために自分に何ができるか。次代を担っていく人財の育成にも情熱を注いでおり、私のモチベーションの源泉になっています。人財育成の積み重ねは、企業文化にイノベーションを起こしていく可能性も踏まえ、組織や地域活性化に資する原動力になると考えています。

『 KAIL 』について

KAILでは、どんな学びを得たのか?
※印象に残ったセッション、講師や同期生の言葉、出来事・エピソードetc
 KAIL塾生の公募に際し、私が手を挙げた理由は、「40代前半を迎え、このままでいいのか」という思いと、「新たな挑戦で変化を求めていこう」との考えからでした。KAILへの派遣は、所属する部門からは実に10年ぶりとなり、「いま手を挙げておかないといけない」「せっかくのチャンスなので、やらないと損だ」との思いもありました。
 私自身、〝ファーストペンギン〟としての気質があるからでしょうか、入塾面接時に「自分のためだけでなく、他者のためにどれだけ時間を割けるかが問われている」と実感しました。
KAILは自らの生き方を学び、問われる場であり、実際、私自身の生き方や考え方も大きく変わりました。KAILでの学びで「他者が何かを起こし、それを他社に働き掛けていくことで状況は変わっていく」ことにも接しました。これらの学びは、その後に出向したQTnetでも大いに生きてきました。
 道なき道を自ら切り拓いていくKAILのキーワードは、「愛がすべて」だと考えており、他者の喜びを自分の喜びにしていくことで今後も精進していきたいと考えます。

『 プライベート 』について

座右の銘や好きな言葉、愛読書は何か?
 座右の銘は「八面玲瓏」です。常にフラットな姿勢で清々しく、そして素直な心で、色んな方々の話を聴くよう、努めていきたいと思っています。
 また、愛読書は「貞観政要」です。特に、私に直言してくださる方々を大切に、第三者視点で自分を俯瞰しながら姿勢を正し(自身との対峙)、日々を大切に過ごしていきたいと思っています。
あなたの気分転換法や
健康維持増進の取り組みは何か?
 いつでもフットワーク軽く動けるよう、身体づくりに勤しんでいます。ランニングや筋トレなどに加えて、ヨガやマインドフルネスなどの、「整い系」も毎日のルーティンにしています。20代から始めた、全国の由緒ある神社を巡る旅もライフワークの一つです。

DATA

名称
九州電力株式会社
住所
福岡市中央区渡辺通二丁目1番82号
事業
発電事業、小売事業(電気・ガス販売)ほか
会社URL
https://www.kyuden.co.jp/
2024年3月時点

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