「強い会社、いい会社」づくりにKAILの教えが生きて地元に貢献し続ける 川原武浩

川原武浩(かわはら・たけひろ)
株式会社ふくや 代表取締役社長
第1期生

『仕事』について

印象に残っている仕事もしくは出来事は何か?
 「学んだ後は、実践することが大切であり、現場で鍛えるべきだ」。KAILの初代塾長だった四島司塾長からの言葉を聞いた、福岡シティ銀行出身の父と叔父は早速、KAIL卒塾直後の私を再建途上の福岡サンパレスへ社長含みで送り込みました。
 2316席の大型ホールに36室のホテルや宴会場を併設する福岡サンパレスは長年、多額の赤字を出しながら、厚労省と福岡市の財団法人が運営していました。その後、民間委託の公募があり、「地元に音楽や演劇を楽しめる会場を維持したい」との思いで2004年、ふくやが福岡サンパレスの運営を引き受けました。福岡サンパレスの経営再建では最初、全社員に「現場でどう思っているのか」「何が問題なのか」を徹底的にヒアリングしました。併せて部門別管理会計を導入したところ、現場の感覚と経営数字が違っていました。経営の現場でも売上規模の大きい部門へ目がいきがちなものの、手堅く収益を出していたのは宿泊部門でした。
 「宿泊先として遠い」という声もよく聞く一方、ホテル自体はホールに隣接し、広い駐車場を備えています。この強みを生かし、ホール観客をはじめ駐車場を必要とするトラックの運転手、さらにホールの設営作業員や搬入業者ら向けに宿泊営業を行いました。また、ホテルの存在は知られていなかったので、施設名を『福岡サンパレス』から『福岡サンパレスホテル&ホール』に改称し、ホテルの存在を無料でPRしました。
 一方、ホールでは割安料金を適正化し、連続予約優先などの販売効率化で収益拡大を図りました。また、駐車場の増設で収容台数を増やし、飲食部門では地元ホテル界の著名シェフを料理長に迎えました。これらの取り組みが功を奏して初年度、黒字化目前のV字回復をみせました。しかし、過去からの負債だった未払い残業代問題が生じ、黒字化は頓挫して「経営は怖い」と実感しました。翌年に黒字化を実現できました。私の退任後も順調に利益を積み上げたものの、コロナ禍により一瞬で吹き飛び、またしても経営の怖さを感じました。
今後に向けた抱負や思い、夢は何か?
 ふくやは、創業者の川原俊夫が〝地域を貢献していくためにつくった会社〟です。ふくやは、創業者の思いを事業化しており、事業領域も多岐にわたります。グループ会社のガバナンス強化をはじめM&Aや株式公開などの意思決定の迅速化を図るために2018年4月、ふくや関連の不動産賃貸会社だった株式会社かわとしを中核会社にした持ち株会社制へ移行しています。福岡サンパレス、石村萬盛堂、紅乙女酒造、鳴海屋、ヤマトバイオレッツ……。今日、関連会社は12社を数えます。『味の明太子』を世に送り出したふくやでは今後、うまみと辛みの〝明太子味〟を世界に広めていきたいと思います。
 グループ全体としては、M&Aによるグループ会社化も含めて「強い会社、いい会社」を増やしていくことで地元に貢献していきたいと考えます。

『 KAIL 』について

KAILでは、どんな学びを得たのか?
※印象に残ったセッション、講師や同期生の言葉、出来事・エピソードetc
 四島塾長をよく知る父と叔父からの「行ってこい」の一言でKAIL1期生として入塾しました。当時、32歳だった私はふくやの副部長を務めながら、地元の経営コンサルティング会社へ出向中でした。当時、傘寿だった四島塾長が、塾生以上に熱心に受講されており、四島塾長の学び続ける姿勢に感化されながら、「やらないといけない」との使命感を抱きました。
 四島塾長が語る「心の北極星」の教えと共にISLの野田智義代表による「暗中模索の中を突き進むフォロワーに対し、リーダーは”北極星がある”ことを教えないといけない」という言葉も大切にしています。KAILで座学の実践として実施した経営シミュレーションでは初日、所属チームの会社が経営破綻に陥り、「学びと実践はまったく違う」ことを痛感しました。2日目、経営再建を担う社長に指名されて徹夜で準備して臨んだものの、再建寸前での時間切れに終わったことも今では良い思い出です。

『 プライベート 』について

座右の銘や好きな言葉、愛読書は何か?
好きな言葉は、ミュージカル『ラ・マンチャの男』の「一番憎むべき狂気とは、あるがままの人生にただ折り合いをつけてしまって、あるべき姿のために戦わないことだ」というセリフです。
あなたの趣味やこだわりは何か?
 2013年のクラブ消滅寸前に『アビスパ福岡支援商品』でサポートし、応援し続けてきたアビスパ福岡が昨年、2023年ルヴァンカップで優勝しました。 地元ファンらがアビスパ福岡の躍進に喚起する姿を見て、自分自身も嬉しく思いました。そして、博多祇園山笠にも相通じる熱意を感じ、「地元を大切にしていこう」との思いを新たにしました。

DATA

名称
株式会社ふくや
住所
〒810-8629 福岡市博多区中洲2丁目6番10号
事業
味の明太子の製造・販売 各種食料品の卸・小売
会社URL
https://www.fukuya.com/
2024年3月時点

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