経営者がKAILで学ぶ魅力は「学びを社内で即実践して生かせる」点である 隈扶三郎
隈扶三郎(くま・ふみお)
株式会社西部技研 代表取締役社長執行役員
第1期生
『仕事』について
- 印象に残っている仕事もしくは出来事は何か?
- 2023年10月、5年掛かりで東京証券取引所スタンダード市場へのIPOを実現しました。当社は来年に創業60年を迎える歴史を持つメーカーであり、私自身も社長就任後20年余りを経過しての株式公開でした。若手の起業家によるスタートアップ企業のIPOが注目を集める株式市場においては、異色だったかもしれません。
株式公開に向けた準備は、本当に大変でした。これまでは当社独自のやり方で経営を行ってきましたが、株式公開に向けた国際会計基準の採用をはじめ、連結決算やコンプライアンスや社内規定、ITシステムなどを上場基準に合わせ、さらにISO9000も再取得しました。IPOを推進したプロジェクトチームのメンバーは、本当に頑張ってくれたと思います。
一方、大変だった出来事としては、2008年~2009年のリーマンショックが挙げられます。世界的なリセッションの影響を当社も免れる事はできず、売上高が三割減となり、入社して初めての赤字決算に転落しました。このような状況下、中国では自社工場の建設に着手しており、また米国では合弁会社を設立し現地生産を立ち上げる等、大きな投資が進行していました。その為業績回復に向けて様々な施策を実行したものの、どれも目立った成果上げる事ができずに半ばあきらめて、いよいよリストラ(人員整理)もやむを得ずと、覚悟を決めた2009年9月になって、急に需要が戻ってきました。 そして、新規事業の立ち上げ、中国での工場建設や米国での合弁会社設立等の投資が実を結んだ結果、翌年から業績が拡大しました。
- 今迄で一番嬉しかった事、大変だった事は何か?
- 当社は、私の父親が創業した典型的なファミリー企業でした。私は三人兄弟の三男ですが、兄二人が「会社は継がない」と宣言した結果、将来的に私が社長に就く定めになりました。
私自身は大学卒業後直ぐに当社に入ったものの、本音では「将来的に社長になる」という自覚も覚悟もありませんでした。当時、社長だった父と距離を置きがちだった中、26歳の時に社命で総合商社の米国現地法人へ出向しました。現法があるニューヨークでは、事業開発担当の副社長から直接薫陶を受ける事ができて、徐々に当社のトップになる覚悟と決心ができました。この事は大変貴重な経験だったと思います。
- 今後に向けた抱負や思い、夢は何か?
- KAIL20周年の今年、私自身も還暦を迎えます。大きな目標であったIPOを実現し、今後はパブリックカンパニーとしての新たな経営の〝カタチ〟を育んでいきたいと考えます。
現在、西部技研はグループとして海外にも七つの子会社を持っています。売上比率は国内25%、海外75%という割合ですが、事業がグローバル化している一方で、本社でのグループ運営体制が十分に追いついていません。このため、早期にグローバルなマネジメントへシフトさせていく必要があり、私がトップとしてその道筋を示していきたいと思います。
『 KAIL 』について
- KAILでは、どんな学びを得たのか?
※印象に残ったセッション、講師や同期生の言葉、出来事・エピソードetc - 2004年4月、新聞でKAIL開塾記念フォーラムの開催を知って参加したのが、最初のきっかけでした。開催当日、「面白い経営塾だ」と思い、早速入塾を決めました。
ただいざ入塾してみると、周囲のレベルの高さに驚きました。同期生は、優秀な大学を卒業した、地元大手企業から派遣された方々が大半でしたし、彼らは組織におけるミドルマネジメントを身に付けて来ていました。これに対して、社長だった私は、トップとしての経営に対する知識不足を痛感しました。それだけにKAILでの学びを大変新鮮に感じました。
経営者がKAILで学ぶことの大きなメリットは、学んだ内容を即、社内で実行でき、社業に反映させられる点です。私は卒塾直後に本社に『西部志高会』という勉強会を立ち上げて、10人程の若手メンバーに対してKAILでの学びフィードバックするよう努めました。いま振り返っても企業のトップがKAILに通う醍醐味は、やはり学びを社内で実践して普及・浸透を図れる事だと思います。
『 プライベート 』について
- あなたにとって大切なものやことは何か?
- やはり家族。特に年を取って授かった二人の娘はかけがえのない存在です。
たしかにお金も重要ですが、お金よりも物事や出来事などの「事」、また人との関係性が大切だと考えます。
- 座右の銘や好きな言葉、愛読書は何か?
- 「経営者とは一歩先を照らし、二歩先を語り、三歩先を見つめるものだ」
藤沢武夫(ホンダの共同創業者)
- あなたの気分転換法や
健康維持増進の取り組みは何か? - 気分転換法であり、健康維持の為の取り組みはランニングです。上の娘が生まれた2014年から走り始めて、基本月あたり100キロを目標にしています。ある意味でお金が掛からないスポーツであり、出張時も朝ランをしています。出張先の海外都市を走る事で、普段と違った街並みの風景を満喫しています。
- あなたの趣味やこだわりは何か?
- トレッキング(山歩き)と現代アートの鑑賞です。アートについては初代塾長だった四島司氏の影響であり、「経営判断に迷ったら、モダンアートを鑑賞しに行く」と仰っていた事を実践しています。海外出張の際に時間ができたら、現地の美術館に立ち寄ることも多いですね。
DATA
- 名称
- 株式会社西部技研
- 住所
- (本社)福岡県古賀市青柳3108‐3
- 事業
- 機械製造業
- 会社URL
- https://seibu-giken.com/
2024年3月時点