KAILでの学びと内省で人生のテーマを見出し、自らの価値観に基づく『行動計画』を策定 山本正和

山本正和(やまもと・まさかず)
株式会社特殊高所技術 代表取締役
第15期生

『仕事』について

印象に残っている仕事もしくは出来事は何か?
 これまでで最も印象的な出来事は起業そのものです。そしてそれがリーダーとしての原点だと思います。
もともとは地元・四国で土木・建設関係の職人をやっていましたが、「何か面白い仕事は無いか」と探していたところ、京都にロッククライマーがロープでぶら下がって地質調査をする仕事を見つけました。技術を身につけて地元で起業をすることを考え、早速、京都へ移住しました。その会社は、社長以外は全員個人事業主で、業務委託として仕事をする体制でした。
 たしかにロープを用いての高所作業の技術については素晴らしかったものの、仕事を請け負っている人たちの入れ替わりが激しい会社でした。一方、取引先からは「だれか独立しないのかね?仕事ならいくらでもあるんだから」という声もあり、安心して働ける職場ではなかったこともあって、個人事業主仲間の先輩と二人で共同創業しました。
 創業時、何も無い尽くしで、あるのは明るい未来への根拠のない確信だけでした。何の実績もない会社だったものの、お客さまからのご縁で、初現場として瀬戸大橋の維持管理業務を任せていただけたことが思い出深い出来事です。その後、高速道路会社をはじめ国や県からの仕事も請け負うようになりました。
 熊本地震が発生して余震の続く中、緊急点検で被災現場へ赴く仲間の一人から『もしも自分に何かあったら、家族の面倒は見てもらえますか?』と尋ねられた際には、経営者として、胸に突き刺さるものがありました。自らの危険を顧みずに使命感を持って現場へ向かう仲間がおり、そして彼らの人生を預かっている立場であることを実感し、責任の重さをあらためて痛感しました。
仕事上での強みや差別化は何か?
 ロープ高所作業に関しては、2016年1月に『労働安全衛生規則』が改正されて、明文化されました。そして、法的には、4時間の座学と3時間の実技の計7時間の特別教育でロープ高所作業の資格を取得できるようになっています。しかし、ロープ高所作業は本来、高度な技術と確実な安全対策が求められる業務です。この業務に従事する人のため、当社が中心になり、一般社団法人特殊高所技術協会を設立しました。
 特殊高所技術協会では、96時間の講習と認証によって『2級特殊高所技術者』の資格認定を行っています。そして、2級技術者資格取得者のうち、1,000時間の実務経験を持つ者で48時間の講習と認証を受けた者が1級特殊高所技術者の資格を得られます。2級の資格取得者は、1級の資格取得者の管理下においてのみ特殊高所技術を用いた業務に従事することができます。
今迄で一番嬉しかった事、大変だった事は何か?
 私たちで作った会社に社員として就職した仲間が、結婚して子どもをもうけ、そして家を建てるという、人生の階段を上っていく姿を見ることを大変嬉しく思います。そして、このようにステップアップできるような環境をつくれたことについて私自身、有難く感じています。一方、大変だったことを挙げれば切りが無いものの、大きな失敗しても命を取られる訳ではないと考えるようにしているので、かなり前向きな捉え方をする方だと思います。
今後に向けた抱負や思い、夢は何か?
2022年12月、代表取締役に就任しました。経営者としての夢は、共に働く仲間から『生まれ変わっても、この会社で働きたい』と言ってもらえるような会社にしていくことです。

『 KAIL 』について

KAILでは、どんな学びを得たのか?
※印象に残ったセッション、講師や同期生の言葉、出来事・エピソードetc
 会社の本社自体は京都にありますが、2010年10月に福岡営業所を開設し、私が現地責任者として赴任しました。その間、KAILの卒塾生と知り合い、彼からの勧めでKAIL15期生として入塾させていただきました。
 私が入塾した当時、共同創業者である和田は盛和塾へ通っており、常日頃から「自分の幸せ」について全社的に問い掛けていました。このため、KAILプロジェクトでは、「会社経営と人生の目的をリンクさせるプロジェクト~全社一丸となる経営指針書成文化のために~」というテーマで取り組みました。KAILプロジェクトを通じて、「自分の価値観はどうやって形づくられたのか」、「自分の幸せとは一体、何なのか」についての内省を重ねました。たしかに最初は、食べていくために独立したものの、80人の社員を抱える規模になり、KAILプロジェクトを通じて「どうしていくのが、本当に良いのか」について真剣に考え、大変良い機会となりました。 そして、人生のテーマとして、「存在対効果の最大化」を打ち出し、自分自身が存在することによって、笑顔になり、幸せを感じる人を増やすために勇気ある一歩を踏み出していく覚悟ができました。
 人生のテーマをはっきりさせることができたKAILプロジェクトは、非常に印象に残っています。自分自身の価値観や幸福感を知るために内省した結果、自分にとっての「幸せ」を明文化でき、さらに自分の価値観と合致した『行動計画』を立てられたことは、大変な価値があり、貴重な経験でした。KAILプロジェクトは、KAILのプログラムにおけるフィナーレであり、私自身も自らの殻を破って、頑張る理由を明文化することができたことは、大きな転機だったと受け止めています。

『 プライベート 』について

あなたにとって大切なものやことは何か?
 私にとって大切な存在は、家族です。熊本出身の妻とは、2007年に京都で結婚しました。ちょうど、会社を設立する2ヶ月前であり、激動の新婚生活だったと思います。4年後に双子の子どもに恵まれ、そして福岡営業所を開設して家族で福岡へ移り住みました。
座右の銘や好きな言葉、愛読書は何か?
「時は命なり」という言葉を常に念頭に置いています。
常に命の灯を燃やし続けていることが人生だと考えており、生きている人はみな、何をするにしても命がけのはずです。なので、「今は価値ある時間を過ごしているか?」と自問しながら、日々、命の尊さを意識するように心掛けています。
あなたの気分転換法や
健康維持増進の取り組みは何か?
体を動かすことが好きであり、ジムに通って体を鍛えています。
あなたの趣味やこだわりは何か?
趣味は、スノーボートと写真撮影です。 
自分の子どもとスノーボートをしたいと思っていたところ、次男がスノーボートを好きになり、親子で一緒に滑れるようになって幸せです。写真については、橋をはじめとする土木構造物の夜景や、月を撮ることが多く、一瞬の瞬間を切り取って共有できることに楽しみを感じています。

DATA

名称
株式会社特殊高所技術
住所
〒601-8319 京都市南区吉祥院三ノ宮町1
事業
特殊高所技術を用いた高所での調査及び補修工事など
会社URL
https://www.tokusyu-kousyo.co.jp/
2024年3月時点

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